【終身保険とは?】その仕組みと活用の仕方をわかりやすく解説

複雑でたくさんの種類がある生命保険ですが、その中で終身保険という保険を聞いたことはあるでしょうか?

名前は聞いたことがあるけれども、他の保険との違いが良く分からない。という方も多いかと思います。

終身保険は、使い方次第では大きなメリットがある保険でもありますので、今回はその仕組みと活用の仕方について、わかりやすく解説していきたいと思います。

生命保険は3種類

生命保険の種類は大きく分けて3種類です。

1.定期保険

2.養老保険

3.終身保険

定期保険は、期限に定めがあり、継続するには更新が必要です。

更新するたびに掛け金は上がっていきますが、他の保険に比べると保険料が安いという特徴を持っています。

また、掛け捨てになってしまうので、基本的に貯蓄性は無い保険になります。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

養老保険は、満期のタイミングで保障額と同じ額の満期保険金を受け取ることができる保険です。

掛け捨てではないので、貯蓄性があるというメリットがありますが、近年は予定利率が低下しているので、保険料が高く、元本割れをする可能性も高いです。特殊養老保険などもあり、養老保険の中でも様々なタイプの保険があります。

詳しくは、こちらをご覧ください。

今回はその中の、終身保険について解説をしていきます。

終身保険とは?

終身保険とは、かんたんに言えば、その名の通り、一生涯続く生命保険です。

身が終わるまでと書いて終身保険なので、亡くなるまでその保障が続きます。

基本的には保障額は一生涯変わることなく、保険料も途中で変わることはありません

残された家族の生活費や、教育費用などは、途中で変動する可能性がありますが、葬儀代などの死後の整理資金は大きく変わらないので、それらを確保する為に入られている方も多いです。

保険料はいつまで支払うの?

定期保険や養老保険は終わりがあるので、基本的にはそのタイミングまで保険料を支払う事になりますが、終身保険は終わりが存在しません。

「では、いつまで保険料を支払うの?」と思われるかと思います。

一般的には、終身保険は60歳もしくは65歳まで支払う形で入られている方が多いです。

例えば65歳まで払い込む形の保険の場合は、その後の保険料は支払う必要がなく、保障だけが継続されます

お金を支払っていないのに、保障だけが一生涯続いていくのは安心ですよね。

掛け捨てにならない

終身保険の最大の特徴の一つは、掛け捨てにならないという点です。

養老保険は、満期のタイミングで保障額と同額の保険金を受け取る事ができますが、終身保険の場合は満期がありません。

では、終身保険の場合はどうなっているかと言えば、払い込みが完了した後のタイミングで解約をすると、払い込んだ保険料とほぼ同額もしくは、それ以上のお金を受け取ることができます

例えば、30歳男性が、保険料毎月2万円の65歳払い込み満了の終身保険に入られている場合には、65歳時点で840万円を支払う事になります。払い込み後に解約をすると、840万円に近い金額、もしくはそれ以上の解約返戻金を受け取ることができます。(※保険会社、予定利率によって異なる)

そして、終身保険の最大の特徴は、払い込み満了後も、解約返戻金は増え続けるということです。

例えば、払い込み直後に解約した場合に受け取れる解約返戻金が840万円だったとして、すぐに解約をせずにそのまま寝かせ続ければ、どんどん解約返戻金が増えていくのです。

「なぜ、支払ってないのに、解約返戻金が増え続けるの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、保険会社は預かったお金を公社債などを使って資産運用してくれているので、その利益を契約者に分配しているのです。

保険会社が契約者に約束している利率を予定利率と言います。予定利率=金利ではないので、例えば予定利率が0.5%の場合は、金利計算をすると0.5%以下になりますが、銀行の普通預金の金利が一般的に0.001%ほど(参考:三菱UFJ銀行)なので、預金よりは高い利率で運用されていきます

そして、この解約返戻金の上昇には終わりはなく、被保険者(保険の対象者)が亡くなるか、解約するまでは続きます

また、この予定利率は契約時点で約束されるので、途中で下がることもありません。(保険会社の予定利率は変動しますが、契約した保険の予定利率は変わりません)

終身保険の有効な活用方法

前述の通り、終身保険は払い込み終了後も解約返戻金が増え続けるので、ある意味払い終えてしまえばこっちのもんなのです

そして、多くの方が知らない終身保険の最大の特徴の一つとして、払い込み満了のタイミングを選べる、という点があります。つまり、必ずしも60歳や65歳に設定する必要は無いのです。

保険会社にもよりますが、例えば払い込み満了のタイミングを契約から10年などに設定することもできるのです。

終身保険において、支払った保険料よりも、解約返戻金が多くなるタイミングは、払い込み期間が短ければ短いほど早くなるのです。

つまり、払い込み期間をなるべく短くした方が、解約返戻率の上昇スピードが早くなるので、貯蓄を目的とする場合は最適なのです。

もちろん、同じ保障で期間だけ短くすると、毎月の保険料は高くなりますが、それでもトータルの保険料は払込期間を短くした方が安くなります

「え?トータルの保険料は一緒じゃないの?」とお思いになると思いますが、前述の通り、保険会社は預かったお金を運用に回す事ができる為、保険会社の立場からすると、早めにお金を預かれる場合にはその分必要な保険料も安くなるという事です。

更には、払い込み方法も毎月払いだけでなく、年払いなども選択できるので、その場合には更に保険料を安くすることもできます。

予定利率を更に上げる方法

予定利率が高い方が、保険料が安くなるうえに、貯蓄目的で保険に入る場合には、解約返戻率も高くなります。

なるべく予定利率は高い所で加入した方が良いですが、この予定利率を上げる為の手段の一つとして、ドル建ての終身保険に加入するという方法があります。

「ドル建てって何?」という方もいらっしゃるかと思いますが、日本円しか持っていない方でも、保険料を支払うタイミングで米ドルに切り替えて支払う事ができるタイプの保険もあるのです。米ドル建ての保険の場合は保険料も、万が一があった時に受け取る保険金も、解約返戻金も全てドルの金額で計算されるので、為替リスクが存在することと、為替手数料も発生することには注意が必要ですが、予定利率が円建てに比べると、圧倒的に高くなります。

円建ての保険の予定利率は0.5%前後であるのに対して、2021年現在ドル建ての保険の予定利率は各社3%前後あります。

例えば、30歳男性がドル建ての終身保険に加入した場合、予定利率が3%で払い込み期間を10年に設定すると、65歳時点で解約返戻金が倍近い金額になる可能性もあります。

利率が保証されている金融商品で言うと、債券などもその1つにはなりますが、債券には償還期間というものがあるので、養老保険のように、どこかのタイミングで終わりが存在します。つまり、ずっと増え続けるとは限らないのです。

しかし、終身保険の場合は加入時の予定利率は一生涯保障されるので、運用面でもその点が債券とは根本的に異なります。いずれ加入される場合には早いタイミングで加入した方が良いでしょう。

貯蓄目的の場合は、保険よりも投資が良い、という考え方もありますが、予定利率が一生涯保障されるのは保険しかありませんので、資産運用の目的によっては、保険を活用するというのも有効な手段だと言えるでしょう。

投資に対する考え方については、こちらの記事も参考にしてみてください。