生命保険は必要ないけど、病気やケガをする可能性はあるから、医療保険は必ず必要だ!
と思っている方は多いのではないでしょうか?
しかし、考え方によっては、もしかしたら医療保険は必要ないのかも知れません。
今回は、医療保険の必要性について、解説をしていきたいと思います。
目次
医療保険が必要ない理由
医療保険は、病気やケガをしてしまったときの入院費用や、手術費用をカバーしてくれる保険です。
生命保険は万が一、亡くなってしまった時の為の保障がメインになるので
「死んだ後の話なんてわざわざ考えていても仕方がない!」
と思われている方も少なくないのでしょうか。
一方、医療保険は自分が生きている間の病気やケガに備える保険なので、
「医療保険は必ず必要だ!」
と感じている方も多いと思います。
医療保険は、今の日本では必ずしも必要ないかも知れません。
それが何故かと言うと、私たちは既に健康保険に入っているからです。
日本は国民皆保険制度なので、すべての人が原則的に国民健康保険もしくは、協会けんぽ・全国健康保険協会などの健康保険に加入をしています。
そして、この健康保険の制度について、意外と知られていない保障が沢山あるのです。
「健康保険に入っていたら3割負担になる」
という事は理解されている方がほとんどですが、それ以外にも実は健康保険には様々な保障が存在しています。
高額療養費制度とは?
国民健康保険、健康保険の保障内容は様々です。
その中で、特に知られていない保障の一つが、高額療養費制度というものです。
高額療養費制度というのは、かんたんに言うと、
「毎月の自己負担額には、上限が存在している」
というものです。
例えば、1か月の間に100万円の治療を受けたとすると、自己負担額はいくらになるでしょうか?
「自己負担は3割なので30万円では?」
と思われる方も多いと思いますが、実はこの場合の自己負担額は年収約500万円の方で87,430円、約9万円になります。
100万円の治療費が掛かったとしても、健康保険に入っていればそれ以上支払う必要は無いのです。
このような制度の事を高額療養費制度と言います。
高額療養費制度によって、制限される自己負担額の上限は、その人の収入によって変わってきます。
詳しくは、こちらをご覧ください。
収入の低い方ほど、高額療養費制度によって、自己負担額の上限は低くなっています。
逆に収入の高い方は、自己負担額の上限も高くなっておりますので、その点はご注意ください。
ご自身の高額療養費制度による上限がいくらなのか、ぜひご確認してみてくださいね。
必ずしも、突然多額の医療費が請求されることがないのであれば、医療保険は必ずしも必要ないかも知れません。
例外には注意
高額療養費制度によって、治療費等の金額には上限が存在することになりますが、これには例外が存在するので注意が必要です。
それは、保険適用外の治療等を受けた場合です。
そして、この保険適用外の治療の代表例が、先進医療と呼ばれるものです。
先進医療
先進医療とは、かんたんに言えば、「最先端の技術を使った治療方法」になるのですが、
この治療方法は、技術料分が全額自己負担になってしまうのです。
例えばこの先進医療の一つとして、ガンの治療などで使う重粒子線治療などが挙げられますが、この治療は総額300万円以上掛かります。
しかしこの重粒子線治療は、ガンになったら必ず使うのかと言えばそんなことはありませんし、
この治療ができる医療機関自体も非常に限られているので、もちろん一生涯の中で使わない可能性の方が圧倒的に高いかと思います。
医療保険には特約として、先進医療特約というこの先進医療に対する個別の保障が存在しています。
保険会社にもよりますが、この先進医療の特約を付けておくと先進医療に対する保障を通算2000万円まで受ける事ができます。
「じゃあ先進医療だけあれば良いのね!」
とお考えの方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、この先進医療特約はあくまで特約としてしか存在しておらず、
先進医療保険なるものは存在しないのです。
「基本的には医療保険はいらない」という方は、最低限の保障にこの先進医療と特約だけをつけるという発想でも良いかも知れませんね。
また、先進医療以外にも、保険適用外の治療等が存在します。
海外の薬など、未承認の治療方法
もしガンになってしまった場合など、万が一余命宣告などされてしまったら、
藁をも掴む思いで様々な治療方法を試したくなると思います。
それが、まだ日本で承認されていない治療方法や薬だった場合は当然、保険適用はされません。
もし投薬や、治療をした場合には健康保険に入っていたとしても全額自己負担になります。
個室に入院したら全額自己負担
基本的には大部屋で入院した場合には、部屋代などは掛からないのですが、
個室を希望して入院した場合には差額ベッド代というものが請求されます。
この差額ベッド代は保険適用はありませんので、全額自己負担になります。
また、この差額ベッド代は完全な個室だけでなく、半個室などの場合も掛かりますし
病院によって値段が異なります。
厚生労働省の第422回中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」によると、
令和元年7月1日時点での1人部屋の差額ベッド代の金額は1日あたり8,018円となっています。
ちなみに、平成28年は1日7,797円でしたので、じわじわと上がってきています。
やはり少子高齢化の影響で、病院に対する入院患者数が増えているのでしょうか。
また、入院中の食事代や、衣服費その他の雑費なども保険適用外となり、全額自己負担になります。
いつか入るのであれば、早く入った方が良い
前述の通り、私たちは既に健康保険という名の保険に入っているので、必ずしも医療保険は必要ないかと思います。
しかし、年齢を重ねると、必然的に身近で病気になる方も増えてくるものです。
そうなると、「〇〇が病気になった」「最近〇〇が手術をしたらしい」などという話題が増えてきます。
話をする中でやはり、「医療保険入らなくて大丈夫かな….」という気持ちには誰もがなるものです。
そんな不安な感情の中で保険会社の方から医療保険をお勧めされれば、冷静になれば必要なかったかな
という保障や特約もどんどんつけたくなってしまうものです。
そして結果、必要以上の保険に入ってしまい、その保険料を支払っている事すら忘れている…
という事もよくあるのです。
そうならないためには、健康なうちに冷静に考えて、自分にとって本当に必要なものは何かを決めた上で、
最低限の保障に早いうちに入るか、一生入らない!と決める事が良いかと思います。
とは言え、「本当に自分にとって医療保険が必要なのかどうか、自分ひとりでは判断できない」
という方は、ぜひファイナンシャルプランナーの方にご相談されてみてください。