投資と言うと、株式をイメージされる方が多いのではないでしょうか?
債券も、代表的な投資の1つですが、あまり会話に出てこない印象です。
しかし、債券の考え方無くしては投資を考えることはできませんので、
今回は「債券とは何か?」を株式との違いを交えてわかりやすく解説していきたいと思います。
株は経営に参加すること、債券はお金を貸すこと
株式と債券の違いを端的に言えば、株式投資は「経営に参加すること」、債券投資は「お金を貸すこと」です。
経営に参加するとはどういうことでしょうか?
要するに、「上手くいけば利益が出るし、上手くいかなければ損をする」
ということです。
株式投資をしたことによって、その会社の経営が上手くいくと、株価が上がったり、配当をもらえたりします。
株価が上がったタイミングで、その株式を売れば利益が出ますし、
配当を受け取ることができれば、株価が例え上がらなくても、その時点で利益になります。
「実際にその会社で働いている訳ではないのに、経営に参加しているって言えるの?」
と感じる方もいるのではないでしょうか?
もちろん、株式投資をしたからと言って、その会社で働く必要はありませんが、株式を持っている人は、実質その会社のオーナーになります。
つまり、「会社は社長のものではなく、株主のもの」なのです。
会社の経営に関する全ての「権利」は株主にあります。
ですので、もちろん株主は社長やその他従業員に対して、「指示」をすることができます。
しかし、上場企業の場合は基本的に全ての人が会社の株式を買う事ができますので、「複数人がオーナーになっている」という状況になっているのです。
そして、より多くの株式を保有している株主が、より強い権利を持つのです。
51%以上の株式を持っている個人がいる場合には、実質的にはその会社はその人のもの、ということになります。
しかし、他の株主の方々も意見をすることができますので、株主総会の中で、全株主は会社の経営に対して思うことがあれば発言することができるのです。
このように、お金を払って株を買っている人は経営に参加をすることができ、上手くいけば自分の利益になるものの、失敗をすれば投資をしたお金が減ってしまう可能性もあります。
一方、債券は経営に参加をする訳ではなく、あくまでお金を貸して、利息を付けて返してもらうという、言わば「約束事」なのです。
債券とは例えば、国債や社債などになります。国債とは国にお金を貸すことですし、社債とは会社にお金を貸すことです。
あくまで約束事なので、基本的には確実に増えて戻ってきます。その代わり、約束した金額以上になることもありません。
例えば、「100万円を貸すので、1年後に101万円にして返してください」というものが債券です。
貸した人は、約束を破られない限りは確実に1年後に1万円増えてお金が返ってきますが、それ以上になることもありません。
また、1年後に返ってくるのであって、「3か月後に返して」とは言えない可能性があります。
約束が破られることがあるとするなら、貸した相手が破産してしまった場合のみです。
国債であれば国、社債であれば会社が潰れてしまったときには、貸したお金が返ってこなくなる可能性がありますが、
破産しない限りは、約束の日まで待つことができれば、お金は返ってきます。
株式の場合は、毎年の配当は約束されていませんが、債券の場合は利息が約束されています。
毎年受け取れる場合もあれば、将来的にまとめて受け取れる場合もあります。
金利が下がると債券の価格は上がる
株式は利益も損失も限りがありませんが、債券の場合は将来的な利益は約束されています。
しかし、あくまで約束の日が訪れた場合に限り、その利益が約束される訳であって、その間の期間は保証されません。
例えば、30年国債であれば、30年後の金額は約束されていますが、30年経つまでの期間は保証されません。
では、30年間は一切手元にお金がない状態になってしまうのでしょうか?
実はそんなことはありません。債券も株式と同様、途中で売却ができます。
そして、債券の場合は、金利が下がれば、途中で売るときの価格が上がるのです。
「金利が下がるのに、価格が上がるってどういうこと?」と感じるかもしれません。
例えば、あなたが金利3%の国債を購入した場合、年間3%の利息が約束されます。
購入した国債が30年国債で、100万円投資をする場合、金利3%であれば毎年の利息が3万円になり、
これが30年間約束されて、30年後には190万円になることが約束されていることになります。
債券は購入した時点で、償還日(約束の日)まではこの金利が保証され、変わることはありません。
しかし、1年後に新たに発行された国債の金利が1%になったとします。
金利が1%になったということは、毎年の利息が1万円になり、30年後には130万円になることが約束されます。
他の人からすると、あなたが持っている3%の国債は羨ましいのです。
なぜなら、普通に国債を購入しても100万円が130万円にしかならないのが、あなたが持っている国債は100万円が190万円になる国債だからです。
他の人は、そんな国債を110万円払っても買いたいと思うのです。110万円投資して、190万円になるのであれば、100万円投資して130万円になるより良いですよね?
ということは、あなたが投資した100万円の債券は、110万円で売却できることになります。
ということで、債券は金利が下がると、売却価格が上がるのです。
どういう時に金利が下がるのか?
では、どのような時に金利は下がるのでしょうか?
一般的には景気が悪い時です。
なぜなら、景気が悪い時は、多くの人はお金を使うよりもため込む傾向があります。
「将来が不安だから、お金を使うよりも、貯金しよう」という発想になるのです。
しかし、そうしてお金が使われないと、人がものを買わなくなるので、更に景気は悪くなります。
政府はこれを回避する為に、金利を下げます。
金利を下げると、お金を銀行に預けていても増えませんから、「預けていても仕方ないよね!」という空気になります。
むしろ、借りる金利も安くなるので、「お金を借りて投資しよう!」という発想になるのです。
金利が下がると貯金をする人が減り、お金を使う人が増えます。そうすると、景気が段々とよくなっていく(はず)のです。
実際にはこのように上手くいっていないのが日本なのですが(金利を下げても景気が良くならない。。)
基本的にはこのような考え方になります。
つまり、景気が悪くなると、景気をよくするために、金利は下がり、それによって債券価格は上がるのです。
つまり、一般的には景気が悪くなると、債券価格はむしろ上がってしまうのです。
逆に景気が良くなると、過熱を抑えるために、金利は上がり、それによって債券価格は下がります。
株式と債券は逆の値動きをする
景気が悪くなって、金利が下がると債券価格は上がります。
一方で株式は、景気が良くなって会社の売上が上がると、株価は上がります。
逆に景気が悪くなって、会社の売上が下がれば、株価は下がります。
つまり、債券と株式の価格は基本的には逆の動きをするのです。
もちろん、同じような値動きをすることもありますが、価格が変化する理由が違うのです。
債券は金利で変化し、株式は景気で変化します。
金利は数字なので、客観的に大小が計れますが、景気はあくまで抽象的なものなので、こうなれば確実に株価が上がる!というものはありません。
このように、全ての要素において、債券と株式は全く逆の投資対象なのです。
まとめ
株式は上がるときはどこまでも上がる可能性がありますが、下がるときはどこまでも下がる可能性があります。
また、将来いくらになるのか?ということは約束されていません。
債券は、いつまでにいくら増えるのか?が最初に約束されています。それ以上にも、以下にもなりません。
ですので、ライフプランの中で「今は必要ないけど、将来確実に用意したいお金」を準備する上では債券を活用した方が良いのです。
株式は景気が良くなれば株価は上がるはずですが、具体的には何によって株価が上下するのかが、誰にもわかりません。
債券は景気が悪くなって金利が下がれば確実に価格が上昇します。景気が悪くなった時の為のリスクヘッジにもなるのです。
どちらが良い悪いという訳ではありませんが、目的に応じて債券系の金融商品もしっかりご検討されることをオススメします。