「インボイス制度って何?正直全くわからない…」
「いろんなところで耳にするけれど、正直よく分からない…」
「インボイス制度って知らなくても大丈夫だよね?」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
結論から言えば、インボイス制度を知らないと、個人事業主の方や法人を持たれている経営者の方は、売上が下がるかも知れません。
今回は、そんなインボイス制度について、できる限りわかりやすく解説していきたいと思います。
目次
そもそもインボイス制度とは?
インボイス制度とは、かんたんに言うと、ちゃんとした請求書を出してくださいという制度です。
個人事業主や会社を経営されている方は、請求書を取引先に提出されると思います。
例えば、ホームページを制作する仕事をされている方は、制作費50万円であれば、50万円振り込んでくださいね、という請求書を依頼主にメールや書面で提出されると思います。
その請求書を、適正な記載内容で、送付、保存しないと、税金の優遇を受けられませんよ、という制度なのです。
正式名称は、適格請求書等保存方式です。適格な請求書などを保存しておいてね、ということです。
インボイス制度導入の背景
なぜ、インボイス制度が導入されることになったのかと言うと、かんたんに言えば、消費税の納税ミスを無くすためです。
そもそも、消費税は売上が1000万円未満の事業者は免除されることになっています。
つまり、消費税は払っている人もいれば、払わないでいい人もいる、ということです。
非常に複雑ですよね。1つの取引で、消費税を払う人と払わない人が混在する可能性があるのです。
例えば、上記のように、ホームページを50万円で制作する、という取引をした場合、制作する人が50万円もらい、制作してもらう人は50万円払います。これには、10%の消費税が掛かるので、55万円で請求をすることになります。
しかし、制作する人が免税事業者(売上1000万円行ってないので、消費税を払わなくてよい人)の場合、55万円を受け取ったとしても、その消費税は納税する必要が無いのです。
「消費税込みで55万円受け取ったのに、納税しないなんて詐欺だ!」とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、現状はこのようなルールになっているのです。
しかし、消費税が掛かる人と掛からない人の取引は非常にわかりづらいのです。
ですので、税務署の立場に立つと、各取引が消費税が掛かるものなのかどうかなどをチェックする際に、証拠資料の存在が必要なので、消費税の有無をはっきりさせる請求書として、適格請求書が生まれました。
また、消費税は原則10%ですが、飲食料品や新聞などは軽減税率として8%になっています。
対象のサービスが軽減税率なのか、それとも一般の税率なのかをはっきりと区別する為にも、適格請求書の発行が必要なのです。
ですので、適格請求書の記載内容には、発行者が誰で、どんな取引に対して、どの税率を適用するのか?などを記載することになっています。
インボイス制度を導入しないとどうなるの?
では、インボイス制度を導入しないとどうなるのでしょうか?
結論から言えば、売上が大きく下がる可能性があります。
なぜか?インボイス制度を導入していない事業者と取引したくない!という会社が発生するからです。
そもそもの消費税の仕組みとして、消費税は既に払っている分の消費税と、払わないといけない消費税を相殺して、残りだけを払えばよい、というルールになっています。
例えば、課税事業者(消費税を払わないといけない人)は売上が1100万円(うち消費税100万円)だった場合、この消費税100万円を国に支払う訳ですが、別で1100万円(うち消費税100万円)の経費を使っていたとします。
この場合、この人は100万円の消費税を既に経費の中で支払っているので、納税しないといけない消費税は100万円ー100万円で0円になるのです。
この、既に支払っている消費税のことを仮払消費税、売上の中で受け取っている消費税のことを仮受消費税と言います。
消費税額は一般的に、この仮受消費税から仮払消費税を差し引いて計算するのです。このことを仕入額控除とも言います。
そして、2023年10月からは、適格請求書を発行してくれている事業者に対する支払いじゃないと、なんとこの仕入額控除が使えなくなるのです!
つまり、消費税を払っていても、払っていないことになってしまうのです!そしてこれはなんと、相手が免税事業者であっても同じなのです。
先ほどの例で言えば、売上1100万円(うち消費税100万円)の課税事業者は、経費1100万円(うち消費税100万円)であれば、課税事業者でも消費税の納税はゼロになるわけですが、この使っていた経費が全て、適格請求書でなかった場合は、経費1100万円(うち消費税0円)になってしまうので、消費税100万円払わないといけないのです!
これは絶対にイヤですよね?
ですので、課税事業者の立場に立ったら、絶対にインボイス制度を導入して、適格請求書を発行してくれる業者にお金を使いたいわけです。それ以外の事業者は相手にしない会社も出てくるでしょう。
逆に言えば、免税事業者もしくは個人の消費者としか取引をしない、という方はあまり影響を受けない可能性もあります。
ポイントは、お金を受け取っている相手が、消費税を納税する人か否か?という点になります。
適格請求書ってどんな内容?
適格請求書として認められるには、以下の項目を記載している必要があります。
1.発行者の氏名または名称
2.取引年月日
3.取引内容
4.受領者の氏名または名称
5.軽減税率適用の表記
6.適用税率毎の区分表記
※7.インボイスの登録番号
※8.適用税率
※9.適用税率毎の消費税額
2023年10月までは6番までで大丈夫ですが、2023年からは、7番以降も必須になります。
免税事業者もインボイス制度導入できるの?
取引先から相手にされなくなったら大変だ!という事で、インボイス制度を導入しよう!と決断された方は注意が必要です。
実は、このインボイス制度、免税事業者は導入ができません。
課税事業者であることが条件なのです。
売上1000万円行ってない人はどうすればいいの?と思うかも知れませんが、課税事業者には売上1000万円行ってなくてもなれます。
売上1000万円未満の場合は、課税事業者と免税事業者を選択すことができるのです。
課税事業者にならないと、インボイス制度は導入できないが、消費税の納税義務が発生するし、
免税事業者なら、消費税は免除だけど、インボイス制度が導入できない…。
なんとも難しい決断ではありますが、生き残っていくためにも背に腹を変えられないタイミングになるでしょう。
インボイス制度はどうやったら導入できるの?
インボイス制度は、適格請求書を使って請求書を発行するだけではダメです。
インボイス制度の登録を完了させる必要があります。
登録の受付は2021年10月1日からスタートしており、e-taxという国税の電子申告・納税システムを利用して登録する方法と、税務署に書類を提出する形で申請できます。
2023年10月1日からのインボイス制度スタートまでに登録を完了させるには、2023年3月31日までに税務署への提出を終わらせている必要があります。