【実質実効為替レートとは?】とにかくわかりやすく解説

時折ニュースで見かける、実質実効為替レートという言葉、

意味があまりにも分からないので、ニュースを見たり、新聞を読む気も失せていってしまいますよね。

しかし、これが分かると経済が格段に面白くなるので、今回は実質実効為替レートについて、

できる限り分かりやすく、解説していきたいと思います。

実質実効為替レートをかんたんに言うと

実質実効為替レートとは、かんたんに説明すると、その国の本当のお金の価値を表した数値になります。

「100円は100円だし、1万円は1万円。お金の価値は既に決まっているじゃないか!」

という声が聞こえてきそうですが、

お金の価値は様々な場面で変わります。

例えば、年収1000万円の方と、年収300万円の方で、感じる1万円の価値は違うでしょうし、

20歳で持っているお金と、60歳で持っているお金の価値も、同じだとは言いづらいかと思います。

その中で、国ごとのお金の価値を表しているものが、為替レートと呼ばれるものになります。

例えば、為替レートが1ドルあたり100円であれば、1ドルと100円の価値が同じ、という考え方になります。

つまり、1ドルを100円で買える、ということですよね。

もし1ドル100円だったものが、80円になると、これは円高になったと言います。

「100円が80円になったのに、なんで円高なんだ!?」とパニックにならないでください。

1ドルを80円で買えてしまうので、”1ドル”が安くなっていますよね?1ドルが、たった80円で買えてしまうのですから。

つまり、円の価値がドルに対して上がった、ということになります。

円の価値が以前に高くなっている訳なので、それがいわゆる円高というものなのです。

逆に1ドル100円だったものが、120円になれば、1ドルを買うのに120円も必要になってしまうので

円の価値がドルに対して下がった、ということになります。

これが、いわゆる円安ですね。

当然、円安になれば円の価値が下がっている訳なので、海外で物を買うのに沢山お金が必要になります。

円高になれば、円の価値が上がっている訳なので、海外で物を買うのにお金はさほどいりません

しかし、ここで問題になるのが物価です。

例えば、1ドル100円から80円になって、円高になったとしても、海外の物価が上がっていたとして、つまり物の値段が上がってしまっていたとして、本来海外で1ドルで買えるコーヒーが、10ドル掛かったとします。

その場合、円高になったとしても、実質的には円の価値は上がっていないことになります。

このように、物価を加味して考えると、実際のお金の価値は通常の為替レートとは異なる価値になるのです。

この、物価を加味した為替レートのことを、実質実効為替レートと言います

お金は使うためにあるので、外貨との価値の違いで考えるのではなく、購買力で考えてその価値を決める場合には、通常の為替レートでは計ることができないのです。

実質実効為替レートの歴史

出典:日本銀行

上記のグラフは、一般的な為替レート(ドル・円)と、実質実効為替レートのグラフです。

オレンジが名目実行為替レート、つまり一般的なドル円の為替レートです。

軸は左側で、1980年からのデータです。

1ドルあたり約250円ほどだったのが、現状1ドル約110円ほどになっています。

つまり、以前に比べてものすごく円高になっているのが分かりますよね。

昔は1ドルを買うのに、250円もかかっていたのが、今は、1ドルを買うのに、たったの100円ちょっとで良くなったのですから。

こう見ると、海外旅行も安く行けるし、海外の物も安く買えるようになったのか!という印象を抱くはずです。

一方で、青色のグラフが実質実効為替レートになります。

軸は右側を見ます。

少しわかりづらいのが、実質実効為替レートは、ある基準年を100と見た時の相対的な値になるので、ドル円の比較とかではないのです。

上記の日本銀行が出しているデータは、2010年を100とした時のグラフになっています。

このグラフの場合には、単純に値が高ければ価値が高く、値が低ければ価値が低い、と考えてOKです。

上記を見ると、なんと、1980年代よりも今の方が円の実質価値が本当は低い事が分かりますよね。

ピークは1995年頃で、その頃を皮切りにどんどん実質的な円の価値が落ちて行っている、と言うのが現状なのです。

このグラフは1980年からのものになっていますが、実際には1970年代とほぼ変わらないくらいの値にまで落ちていっています。

日経新聞は、2021年11月18日に、実質実効為替レートが約50年ぶりの低水準に接近したという記事を出しています。

1970年代といえば、ビートルズの「Let It Be」がリリースされた年であり、大阪万博が開催された時でもあります。

その時と同じ水準に戻ったと考えると驚きですよね。

実質実効為替レートが下がると何が問題なの?

正直、実質実効為替レートが50年前の水準まで低下している!という事実を叩きつけられたとしても、現状の私たちの生活に大きく影響がある感覚もないし、正直あまり関係は無いのではないか?というように感じられている方も多いのではないでしょうか。

結論、私たちの生活に無関係なことは絶対にないのです。

実質実効為替レートが低下しているということは、かんたんに言うと、お金の価値が低下しているということになります。

つまり、収入がしっかり増え続けないと生活するのがどんどん大変になっていってしまうということです。

「がんばって稼げばいいってこと?」

と言われればその通りです。

実は、アメリカも実質実効為替レートは昔から今の水準とさほど変わらないのです。

出典:CEIC

「アメリカと一緒であれば、全然問題ないではないか!」

という声が聞こえてきそうですが、アメリカと日本で決定的に違うのはこちらです。

出典:全国労働組合総連合

上記は、全国労働組合総連合が出している、実質賃金指数の国際比較です。

1997年を100とした時の、実質的に受け取っているお給料の水準を表しているものになります。

実質賃金が、世界的に上昇傾向なのに対して、日本は下がり続けているのが見て取れると思います。

仮に、お金の価値が下がったとして、物価が上昇し続けたとしても、収入が上がれば問題はないのです。

アメリカは1997年を100とした時に2016年の時点で115.3、スウェーデンは138.4です。

しかし、日本は平均年収がここ20年以上上がっておらず、もはや実質の賃金で言えば、下がり続けています。

日本の実質賃金は1997年を100とした時に、2016年時点で89.7です。

つまり日本は、お金の価値が下がりながら、収入も下がり続けているという最悪な状況なのです。

もちろん、悲観的に見すぎる必要もありませんが、楽観視できる状況では全くない、ということなのです。

円が安くなる上で備えておくべきこと

自国の通貨が安くなると、実質的に生活費が上昇していく可能性が高いです。

それに備えるための方法は大きく2つです。

1.外貨を持つ

自国の通貨が安くなっているということは、相対的に海外の通貨の価値が高くなっている可能性があります。

円だけではなく、日本で生きているからこそ、大なり小なり、ドルなどの外貨を持つのは必須かと思います。

ドル以外の通貨ももちろん分散して持つべきですが、ドルが現在では世界で唯一の基軸通貨なので、ドルは持っておいた方が良いでしょう。

基軸通貨とは、その通貨を中心に他の通貨の価値が決まっていくものです。また、基軸通貨以外の通貨のことをローカル通貨と言いますが、ローカル通貨同士は一般的に直接の交換ができず、基軸通貨を経由しての交換になります。

それが、ローカル通貨同士の為替手数料が高い理由です。円もローカル通貨です。

2.物価が上昇している国に投資をする

実質賃金が下がり続けている日本において、収入を増やしていくのは容易ではありません。

それはこの記事をご覧いただいている皆さんが感じていることかとは思いますが、ではどうすれば良いのでしょうか?

海外で働こうにも英語が使える必要がありますし、海外に行けば必ず収入が上がる、ということでもありません。

しかし、日本にいながらにしても、実質的に海外で働く方法があります。

それは、海外に投資をするということです。

厳密に言えば、皆さんの代わりに、お金に海外に行ってもらって働いてもらう、ということです。

収入を増やすことは難しくとも、収入源を増やすことは難しいことではありません。

最も有効なのは、副業をして働き方を増やして行くという方法です。コロナをきっかけに様々な働き方が注目されてきている昨今ですが、例えば会社員の方でも副業などを通じて複数の収入源を創ることは不可能ではないです。理想の状態は、副業ではなく複業です。

そして、投資や資産運用はその手段の一つとも言えます。

海外の会社の収入が増え続けているのであれば、その会社に投資をすれば良い訳ですし、その会社や国にお金を貸せばよいのです。

もちろん、そうすれば確実に資産が守れる、という訳ではありませんが、円を持っているだけでも実質投資をしていることと同じなので、どれだけ日本だけに依存しない形を創れるかどうかが重要だと言えるでしょう。