冬場になると火災のニュースをよく目にしますね。
こちらは消防庁が公表している月別の火災件数の統計ですが、
12月-3月にかけて、空気の乾燥のため火災の件数が平均よりも増加しています。
火災の発生した際に補償してくれるのが、「火災保険」なのですが、
その火災保険が気候変動の影響により、
2022年10月から値上がりするのでは無いかと言われています。
このような状況の中で切り替えを検討される方もおられると思います。
そこで今回は火災保険に関して分かりやすく解説していきます。
目次
火災保険の仕組みと補償範囲
火災保険とはその名の通り、火災が発生した時の損害を補償してくれる保険です。
それ以外にも「落雷」「破裂・爆発」の損害も補償される場合もあります。
また保険の種類により、火災による損害以外に、
「風災」、「雪災」、「水災」、「盗難」、「汚損」、「破損」による損害も保証の範囲に含まれます。
火災保険という名称ですが、火災だけでなく住宅全般の損害に備える保険
というイメージで捉えていただいた方が良いかも知れません。
実はものすごく、補償される範囲が広いのです。
住宅だけではなく、家の中の家具も対象になる?
契約内容によりますが火災保険は、住宅と住宅の中にある家具等も補償の対象になります。
火災保険では、住宅の中にある家具などの財産のことを、「家財」と言います。
火災保険は建物だけでなく、この家財も補償されるのです。
しかし、建物部分のみを保険の対象に設定していると、住宅が燃えてしまった場合は、
建物が損害を受けた分しか保険の対象となりません。
家具等の住宅の中にある物まで補償の範囲に含めたい場合は、
補償内容をしっかりと確認する必要があります。
現在ご加入中の方は補償がどうなっているかは
証券を確認すれば内容が分かりますが、
見慣れていない保険証券を見るのは案外大変なので、
身近なFPさんに相談していただくのがお勧めです。
お隣さんからの燃え移りの場合は賠償責任無し!?失火責任法とは?
日本の火災に関する代表的な法律が、
明治32年に制定された「失火責任法(正式名称:失火ノ責任ニ関スル法律)」
がありますが、その法律を要約すると、
「重大な過失でなければ、過失による火災の場合は損害賠償はしなくて良いよ」
という内容です。
ちなみに過去重大な過失と認められた主な原因は下記になります。
・タバコの火の不始末による失火
・暖房器具の使用の不注意による失火
・その他の不注意による失火
つまり自宅の火災でお隣さんのお宅に火災の損害を与えてしまったとしても、
重大な過失で無ければ、損害賠償をする必要はないという事ですね。
それは裏を返すと、お隣さんの出火が原因で自宅が燃えてしまっても、
重大な過失で無ければ、お隣さんから賠償をされないケースも発生してしまいます。
そのため自宅が被害を受けてしまった時の事を考えて、
必要な部分はキチンと補償をつける必要があるという事ですね。
「建物」と「家財」とは?
前述の通り、火災保険の対象は「建物」と「家財」の大きく2つに分けられます。
この「建物」と「家財」の違いは一体何なのでしょうか?
「建物」の範囲について
火災保険では建物だけでなく、付属する門や塀等が保険の対象となりますが、
一戸建てと、マンションの場合で適用範囲が若干異なります。
一戸建ての場合
居住用の建物が対象になり、門や塀、車庫やカーポート・付属する建物も補償の対象になります。
マンションの場合
居住用の建物の専有部分が補償対象となります。
つまり保険を契約されている方の部屋の中のみが対象になります。
反対に廊下やバルコニー等の共用部分は含まれない事が多く、
共用部分はマンションの管理組会等が保険に加入しているケースが多く見受けられます。
共通する部分
戸建てもマンションも共通して、建物に直接備え付けられている収納などの建具、電気やガス、冷暖房等の設備、浴槽や流し、ガス台、調理台などは、建物の範囲として補償されます。
一見家財っぽいのですが、不思議ですね。
ちなみに、賃貸の場合は建物の補償はオーナーが負担してくれますので、建物の火災保険を契約する必要はありません!
「家財」の範囲について
その名の通り、「家にある財産」になります。
家具、家電製品、家庭用の食器、日用品、絵画、骨董品、貴金属などなど。ほぼすべてが家財として補償されます。
先ほどの逆で、建物に直接備え付けられているものは家財の対象にはなりません。
そのトラブル、火災保険で解決できるかも?
先ほどお話した通り、火災保険は意外にも
火事や自然災害だけでなく、破損や汚損にも対応しており、
その対象は契約によっては建物だけでなく、家財には及ぶのです。
火災保険の契約には、「不足かつ突発的な汚損及び破損」という項目があることがありますので、
その契約がある場合には、例えば「引っ越しで家具が壊れてしまった!」であったり、「子どもが家の中でボール遊びをしていて、それがテレビに当たって壊れてしまった!」などという場合にも保険の対象になることがあるのです。
意外ですよね?火災保険は実はとても万能で優秀な保険なのですが、活用できていない方も多いです。
火災保険と地震保険の違いとは?
地震保険の概要
地震保険の対象は居住用の建物と家財です。 火災保険では、地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・ 拡大した損害は補償されません。 地震保険は、火災保険に付帯する方式での契約となりますので、火災保険への加入が前提となります。地震保険は火災保険とセットでご契約ください。すでに火災保険を契約されている方は、契約期間の中途からでも地震保険に加入できます。 地震保険は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任の一定額以上の巨額な地震損害を政府が再保険することにより成り立っています。
総務省
地震保険とはつまり、火災ではあるものの、
地震が原因で発生した火災保険ではカバーできない損害を補償するための保険になります。
「地震が原因で発生した火事は補償されないの?!」
そうなのです、地震が原因で発生した火事は、通常の火災保険では補償の対象外なのです。
「地震で家が壊れるなんて考えづらいから、地震保険はいらない」とお考えの方は、考え直した方が良いかも知れません。
火災保険と地震保険は別の保険?
実は地震保険は、単体で加入する事ができません。
そのため火災保険に入っていない方は、火災保険加入時にセットで加入し、
既に火災保険に加入されている方は、現在契約している物に追加する形で
加入する必要があります。
火災保険と同様に居住用の建物と建物の中にある物が対象です。
あくまで居住用の建物なので、店舗などは地震保険の対象外になってしまうんですね。
なお、地震保険の保険金額は、最大で火災保険の保険金額の50%となり、
地震保険単体では、損害額を100%補償はできないことに注意が必要です。
政府と民間の損害保険会社が共同で運営している制度のため
冒頭でお伝えした火災保険と違って、保険会社によって補償内容や
保険料に違いが無いのが特徴です。
つまり、「どの保険会社で入ろうが、地震保険は一緒」ということです。
「御社の地震保険はどんな感じですか?」というのはナンセンスな質問ということですね。
ちなみに火災保険同様になりますが、
受け取った保険金の使い道は特に限定されていません。
建物の建て直しや被災後の生活費、住宅ローンの返済などに使うことができます。
近年ではドローンを使って空撮を行い、火災保険の対象になるかを確認すること
ができるようになったりする等、加入されている火災保険を活用して
自宅の修繕に役立てている方もいらっしゃるようです。
屋根や高い所の壁など、建物の損害が発生していることにすら気づかないことも多いので、
今一度確認をしてみることをオススメします。
火災保険を選ぶポイント
火災保険を販売する保険会社には、
代理店で申込む「代理店型」と、
ウェブサイトなどを通じてお客さんが直接申込む「ダイレクト型」があります。
ダイレクト型はその名の通り保険会社とお客さんとの直接契約になるので、
代理店手数料等の中間コストを削減する事ができます。
そのような背景から、通常はダイレクト型の方が保険料が安くなることが多く、
自身で必要な保証を見極めて、組み合わせる事ができれば、
ウェブサイトを通じたダイレクト型の方が安く押さえる事ができる半面、
ここまでお伝えして来たように、
どのような補償内容がご自身の住宅等にとってベターなのかを考える必要があります。
その場合、一から仕組みを調べる必要があり、難しいかと思いますので、
火災保険の切り替えや、新しく契約する際は是非一度、身近なFPさんに相談してみることをお勧めします。